「インデックス投資ならオールカントリーでOK!」、「積立NISAはオルカンに1本集中がいい!」という言葉を聞いて本当にオルカンだけでいいのかな?と迷んでいませんか?
この記事は、そんな悩みを解決できるできる記事になっています。
結論から言うと、私は長期投資で行う場合、インデックス投資はオールカントリー1本だけでいいと思っています。
オールカントリーは全世界株式インデックス投資のことであり、世界中の投資できる国や地域の株式に連動した商品のこと。
長期的に投資をしていきたい投資初心者や投資に時間を割けない方には、まず始めてほしいおすすめの1本と言えるでしょう。
しかし、あくまで投資であるため、万人におすすめとは言えません。
この記事の前半では、オルカンのみに投資するメリット・デメリットを解説します。
後半ではオルカン投資をおすすめしない人、新NISAでオルカンを運用する際の注意点、人気銘柄eMAXIS Slim全世界株式についても説明しています。
この記事を読み終えると、オールカントリーのみへの投資が自分に合っているのか判断することができるでしょう!
なぜオールカントリーだけでいい?メリット5つ
投資銘柄を選ぶ際になぜ「オールカントリーだけでいい」と言われるのでしょうか?
オールカントリーに投資するメリット5つを解説していきます。
①:株式投資であるため、高いリターンが期待できる
オールカントリーは海外の株式に投資した商品ですよね。
投資を行う際の対象として、以下の資産が挙げられます。
- 日本国内債券
- 海外債券
- 日本国内のリート
- 海外のリート
- 日本国内株式
- 海外株式
各資産のリスクとリターンの関係は以下の表のようになっています。
この中で、オールカントリーは「海外株式」に該当し、高いリターンを期待できる商品と言えます。
株式であっても、債権であっても価格の変動は避けられません。
株式投資はハイリスクでもありますが、長期的に運用することで、複利効果を得ながらリスクを抑えた運用を行うことができるでしょう。
②:オルカンのみで全世界に分散して投資可能
オールカントリーは先ほども説明した通り、世界中の様々な国の株式に分散投資をしている商品です。
言い換えれば、オールカントリー1本に投資するだけで、世界中の株式に分散投資ができる!ということ。
先進国だけでなく新興国の市場にも投資しているため、世界の時価総額の割合をそのまま小さくして投資しているイメージです。
個人で世界中の株式に投資しようとすると、時間も費用も手間もかかりますよね。
オールカントリーはこれ1本で全世界に分散投資できるとても便利な商品です!
分散投資が大切な理由
資産運用の世界では「卵は1つのカゴに盛るな!」という有名な言葉があるのを知っていますか?
1つに集中して投資を行うよりも、いくつかに分散して投資する方がリスクを抑えられることを卵とカゴを使って表しています。
例えば、A国で経済的な問題が起こったとしましょう。
その場合、B国やC国にも投資していれば、A国の株価の下落をB国やC国の成長がカバーしてくれる可能性があります。
このようにオールカントリーは、国や株式を分散して投資することができるため、時間や精神的な負担を少なく投資を続けることができる商品なのです。
③:コスト・手数料が安いファンドが多数
オールカントリーに投資しているファンドはいくつかありますよね。
その多くがインデックス投資であり、コストや手数料が安いファンドなのです!
例えばアクティブ運用は、ファンドマネージャーによる銘柄の選択やアナリストによる調査等に手間がかかるためその分手数料が高くなると言われています。
一方、インデックス投資は機械的に参考指数と同じ銘柄やポートフォリオで運用するため、低コストが可能になるのです。
投資を行う上で、コストを抑えることはとても重要ですよね。
せっかくの投資リターンがあっても、手数料や信託報酬が高いと収益が少なくなってしまいます。
このようにオールカントリーに投資すると、余分なコストを抑えつつ市場平均のリターンを目指せるというメリットがあります。
④:自動で組み入れ国や銘柄のリバランスを行ってくれる
オールカントリー投資において、資産のリバランスは不要です。
リバランスとは、投資するお金の配分を調整したり、変動した投資のバランスを調整すること。
例えば、アメリカ株50%、日本株50%で投資したい場合、どちらかが増えすぎたり減りすぎたりすると、本来の求めている資産バランスを崩してしまいますよね。
そこで定期的に資産配分を調整して、予め設定した割合に保つことをリバランスといいます。
初心者や個人投資家が自分で行うにはかなり面倒な作業ですよね。
しかし、オールカントリーではファンド内でこのリバランスを自動で行ってくれるのです!
自分で細かく計算しながら売買を行う必要がないため、長期的な視点で見ても安心して投資・運用を続けることができるでしょう。
⑤:人気の商品であるため、情報が多い
オールカントリーは人気商品のうちの1つです。
以下の画像をご覧ください。人気のネット証券会社であるSBI証券と楽天証券の資金流入にランキングになります。
画像から分かる通り、オールカントリーのファンドは常に上位にランクインしています。
多くの人が投資しているため、流動性や市場での信頼性も高い人気商品と言えます。
自分が投資している商品の情報が多く、何か調べたときに多くの情報が得られるのは嬉しいですよね。
オールカントリーのみに投資した場合のデメリット6つ
オールカントリーに投資するメリットは分かりましたよね。
では反対に、オールカントリーのみに投資した場合にはどのようなデメリットが考えられるのでしょうか?
なぜオルカン1本への投資はリスクが高いと言われることがあるのでしょうか?
ここからは、オールカントリーのみに投資した場合のデメリットを6つ説明します。
①:アメリカの組み入れ比率が高い
現在の全世界株式インデックスの国別の構成比率は、大体以下の構成比率です。
- アメリカ 60%
- 日本 6%
- イギリス 4%
- 中国 3%
アメリカの比率は約60%であり、大きく偏っていることが分かりますよね。
そのため、もし今後アメリカ経済が不況になった場合には大きく影響を受けるでしょう。
②:将来予測を織り込めない
全世界株式に限ったことではないですが、インデックス投資は将来予測を織り込んで将来の上昇や下落に備えて投資をすることはできません。
インデックス指数の多くは現在の市場規模を表していますよね。
将来的に上がる見込みのある国を予想して今から多めに投資しておきたい!
将来の下落を予想して、ある国の組み入れ比率を下げておきたい。。。
例えば、今後はインドが有望な投資先だと予想した場合でも、現在のオールカントリーの指数のインドの組み入れ比率は約2%!
オールカントリーでインドの組み入れ比率が大きくなるのは、実際のインドの市場規模が大きくなってからになります。
そのため、今後のインドの成長を予想して、今から多めに投資しておきたければ、オルカンとは別に投資しておく必要があります。
このように、オールカントリー投資においては、将来予測を織り込むことはできません。
③:株式銘柄の分散の割合が低い
現在のオールカントリーの株式銘柄の分散比率は低いことも場合によってはデメリットの1つとなり得るでしょう。
「全世界株式インデックス」の指数は、時価総額加重平均型です。
そのため、時価総額の大きいものや大型株に多く投資しており、それらのの値動きに左右されやすいという特徴があります。
現在はApple、Microsoft、Amazon、Alphabet(Google)の4社だけで指数構成比の10%を超えています。
インデックス投資は低コストで、効率的に分散できる投資方法ではありますが、最近は分散度合いが低いことは念頭に置いておきましょう。
④:基軸通貨アメリカドルへの信用が低下した場合
現在は米ドルが世界経済の基軸通貨ですよね。
もしも今後、アメリカドルの地位が揺らぐことがあれば、現在のオールカントリーにおけるアメリカの割合の大きさがここでもリスク要因になる可能性があります。
実際に、中国やインド、中東などの一部の国ではアメリカドル覇権ではない新しい経済システムの構築を目指す動きも見られます。
とはいえ、オールカントリーは経済の変化に対してリバランスを行ってくれるため、長期投資という視点で見た場合には、限定的なリスクと言えるでしょう。
⑤:円高になると成績を押し下げる要因になる
オールカントリー投資では、今後為替が円高になると、実際のインデックスの指標よりもファンドの成績を押し下げる要因になってしまいます。
2024年現在は米ドル/日本円は150円前後であり、円安が進んでいるため、為替変動はメリットとなっています。
実際に、オールカントリーは日本円ベースで3年間でプラス70~80%のリターンを記録しています。
しかし実はこのうちの60%程度は、円安による利益。
2020年~2023年の運用成績を米ドルベースで比較すると、オールカントリーより、日経平均株価や東証株価指数への連動を目指すインデックスファンドの方が実はリターンは高いのです!
このように、海外資産への投資を行う場合には実際のリターンだけでなく、為替変動の影響を受けることになります。
今後さらに円安が進めば、円建てで考えた場合にメリットになりますが、反対に円高に進んだ場合には、デメリットになることを覚えておきましょう。
⑥:全世界の経済の影響を全面的に受ける
今後世界経済が低迷する場合や市場の転換点、大きく下落していく場面においては、その影響を全面的に受けることになります。
「全世界株式インデックス」に投資するということは言い換えれば、「今」の世界の株式市場を全面的に受け入れるということ。
下落局面においては世界の不況のあおりを全面的に受けてしまいます。
とはいえ、世界経済は将来的には右肩上がりで成長していくと言われています。
分散投資や長期投資でお金や時間の分散を図って長い目で投資していくことが大切ですよね。
どんな人にオルカンはおすすめしない?タイプ4つ
ここまでは、オルカン投資の概要、メリット・デメリットをお伝えしてきました。
では、具体的にオールカントリーへの投資をおすすめしない人はどういう人でしょうか?
ここでは4つのタイプについて説明します。
①直近でその資金を使う予定のある人
まずは、直近でその資金を使う予定のある人。
これは投資を行う人全員に言えることですが、投資は近い将来に使う予定のない資金で行うべきです!
先ほども説明した通り、オールカントリーは、全世界の経済の影響を全面的に受ける商品です。
そのため、もしも世界経済が不況に陥った場合には、投資しているオルカンの評価額も下がってしまうでしょう。
評価額が下がっているときに急いで解約する必要がないように、直近で使う予定のない、余裕資金でおこなうようにしましょう。
②配当金等のインカムを増やしたい人
配当金等のインカムを増やして生活していきたい人もオールカントリー投資はおすすめしません。
オールカントリーのみに投資していきたいという方は、どちらかというと投資初心者が多いのではないでしょうか?
投資初心者の場合には、ETFよりも投資信託のファンドの方が、再投資や税金について考える必要もないため簡単に投資できます。
厳密に言うと、ETFへの投資であれば配当金等を得ることは可能です。しかし、初心者には少し敷居が高いですよね。
オールカントリーの投資信託では、配当金を出している商品はありません。
そのため、配当金等のインカム欲しさに投資を行いたい方にはおすすめしません。
③資産のリバランスを自分で行いたい人
オールカントリーに投資するメリットでもお伝えしましたが、ファンド内の組み入れ比率の調整=リバランスは自動で行われます。
そのため、
A国は投資から除外したい!
B国には集中的に投資したい!
という風に国によって自分で投資割合を変えたい方にはおすすめできません。
資産のリバランスを自分で行いたい方は、オールカントリーではない別のファンドに投資を行うか、オールカントリー以外にも投資を行う必要があるでしょう。
④アクティブファンドや個別株に投資したい人
世界情勢や企業の業績を調べて、自ら仮説を立てて投資を行いたい方にもオールカントリーは向いていません。
オールカントリーへの投資は長期で分散して投資を行いたい人におすすめです。
そしてどちらかと言えば、投資に時間を割くことなく、放っておきたいという方向けの商品です。
自分で仮説を立てながら、個別株やアクティブファンドで高リスク・高リターンを狙っていきたい人は他の投資商品を選んだ方がいいでしょう。
新NISAでオールカントリーを運用する際の注意点
ここまで、オールカントリーの概要や投資する際のメリット・デメリットを説明しました。
では、オールカントリーに投資する際の注意点は何なのでしょうか?
それは、少なくとも10年以上(理想は20年以上)は運用を続ける前提で始めること。
せっかく新NISAを始めとする投資を行っても短期で売買を繰り返したりやめてしまうといい結果を得ることができなくなる可能性が高いです。
投資の基本は、長期投資、分散投資。
オールカントリー自体は分散投資の商品であるため、長期投資の部分も行えるようにしっかりと計画を立てながら投資しましょう。
人気銘柄!eMAXIS Slim全世界株式一本だけでいい?
オールカントリー投資で一番よく耳にする商品は、eMAXIS Slim全世界株式ではないでしょうか?
ここでは、オールカントリー投資の中でも「eMAXIS Slim全世界株式」1本だけでもいいのか?について解説していきます。
結論から言うと、「eMAXIS Slim全世界株式」に投資できる環境の方にはおすすめの商品です!
eMAXIS Slim全世界株式とは
eMAXIS Slim全世界株式とは、三菱UFJアセットマネジメント株式会社が運用を行うインデックスファンド。
グローバルな視点で投資を行いたい方におすすめの投資信託と言えるでしょう。
SBI証券や楽天証券、新NISAの積立投信でも大人気のファンドです。
運用管理費用も0.05775%と安いのも大きな魅力の一つ!
オールカントリーに投資したい方にはおすすめのファンドです。
正式名称 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
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運用会社名 | 三菱UFJアセットマネジメント株式会社 |
純資産総額 | 26358.52億円 |
参考指標 | MSCI ACWI |
運用 | インデックス型 |
販売会社 | SBI証券、auカブコム証券、マネックス証券、楽天証券他 |
資産配分比率 | 先進国83%、新興国10%、国内株5% 他(2023年4月時点) |
国別配分比率 | 米国59%、日本5%、英国3.5%、フランス3%、カナダ2%、スイス2%、ドイツ2% 他 |
分配金 | なし |
運用管理費用(信託報酬) | 0.05775%(税込) |
最低購入単価 | 100円から購入可能 |
基準価格 | 23,208円 (2024年3月1日時点) |
NISA成長投資枠 | 可能 |
NISA積立投資枠 | 可能 |
eMAXIS Slim全世界株式の投資対象
e MAXIS Slim全世界株式の投資対象は、日本を含む先進国や新興国の株式です。
現在の投資割合で言うと、この投資信託に投資するだけで、アメリカを中心とした全世界の企業の株に分散投資するのと同じ効果が得られるでしょう。
eMAXIS Slim全世界株式の利回り・過去の実績はどのくらい?
eMAXIS Slim全世界株式の利回りのどのくらいなのでしょうか?
結論から言うと、未来の利回りは誰にも分かりません。
ただし、過去の実績を見ることで今までの傾向を確認することはできます!
そのため、ここではeMAXIS Slim全世界株式の過去の運用実績を見ていきましょう。
設定日の2018年10月31日以降、以下のように推移しています。
コロナショックで一時的に下がったものの、その後は右肩上がりに回復していることが分かりますよね。
トータルリターンも設定来プラスであり、運用実績は問題ないと言えるでしょう。
※過去がプラスの成績だからと言って、今後マイナスの利回り・実績にならないとは限りません!
このように、eMAXIS Slim全世界株式は過去の実績や手数料も安い人気商品です。
全世界株式に投資したいと思っている方にはおすすめのファンドと言えるでしょう。
私がオルカン1本投資を選んだ2つの理由
私は今後の長期投資を考えた場合に、インデックス投資は「オールカントリー1本のみ」を選びました。
理由は以下の2点です。
- ハイリスクハイリターンの株式投資がいい
- アメリカが今後どうなるのかを心配したくない
※あくまで個人の考えです。
①:ハイリスクハイリターンの株式投資がいい
私は10年、20年先を見越した長期投資を前提としています。
また、私は現在多くの資産を持ってはいません。
したがって、資産運用においては、守りの姿勢ではなく、攻めの姿勢でより資産を増やしていきたい!
そうすると、ローリスク・ローリターンの債権よりもハイリスク・ハイリターンの株式投資がベストという結論に至りました。
②:メインの投資先であるアメリカの将来で不安になりたくない
今回、投資商品を考えるにあたり、 「オールカントリー」と同様に人気商品である「S&P500」も検討しました。
アメリカ経済1本の「S&P500」か?
アメリカ経済に何かあった時に国や株式銘柄の入れ替えを自動で行ってくれる「オルカン」か・・・?
オルカンは現在の市場を表しているため、現状はアメリカが大部分を占めています。
でも10年後、20年後は分からないですよね。
アメリカの今後は大丈夫なのか?と必死に調べている自分がいました。
今までの実績を見てみると「S&P 」に投資した方がが大きいリターンが得られることが分かります。
ですが、今後一時的にでもアメリカに何かあった場合、私自身が投資を続けられなくなるのではないか?精神的に不安定になるのではないか?と思いました。
その時々の経済・市場に合わせてリバランスがあることが、迷いを消し、自分の心の支えになると思い、「オルカンのみ」に投資することにしました。
まとめ
この記事では、オルカン1本だけでいいのか?という視点で、オールカントリーのみの集中投資のメリット・デメリット、オルカンをおすすめしない人はどんな人?について解説しました。
また、オルカンの人気商品の1つである「eMAXIS Slim全世界株式」について、新NISAでオールカントリーを運用する際の注意点、オルカン投資を私が選んだ理由についても説明しています。
この記事で紹介したオルカンのデメリットも経済状況によってはメリットになり得るものもあります。
投資初心者はもちろんのこと、時間や労力を割くことなく投資を行っていきたい方にはオールカントリーのみへの投資は最適であるといえるでしょう。